媽祖(天后)を祀る福建系寺院「霞彰會館(ハチュオン会館)」
2017/12/1819:00
カテゴリー │お寺
店舗名 | 霞彰會館(ハチュオン会館) |
住所 | 714/3 Nguyễn Trãi,phường 11,Quận 5,Hồ Chí Minh![]() |
営業時間 | 7:00 - 16:00 |
定休日 | なし |
使用可能な言語 | ベトナム語 |
支払方法 | 現金 |
トイレ | なし |
※当記事は、2017年12月現在の情報に基づいており、現在では異なる場合がございます。
ホーチミンのチョロン地区、別名チャイナタウン。ここには7つの歴史的寺院があり、チョロン地区の代表的な観光地のひとつとされています。
なんでチョロン地区にチャイナタウンがあるの?という疑問に対しては、チョロン地区の歴史的背景をさかのぼることですんなりと理解することができます。現在ホーチミンには50万人ほどの華人が住んでいると言われていますが、実は華人とベトナムには切っても切れない縁が存在していているのです。その歴史は17世紀末にまでおよびます。
17世紀末、中国の滅亡した王朝「明朝」の臣下が船に乗ってベトナムへ亡命を求めました。その人数は3000人ほどとされており、ベトナムの半独立国家「広南国」がそれを受領したことが、華人とベトナムの結びつきの始まりとされています。
そして時は経ち1778年、ビエンホア(ベトナムドンナイ省)の華人が西南朝(1778年から1802年までベトナムに存在した王朝)からの攻撃によって国内で難民となり、チョロン地区を自らの居住地として住み始めることを迫られました。これがチョロン地区にチャイナタウンが生まれたきっかけと考えられます。
そこからさらに時は経ち、1975年をまたぐころにはすでにチョロン地区に70万人の華人が住んでいたと言われています。当時、ベトナム南部には120万人の華人が住んでいたことを踏まえると、およそ58%の華人が限られたチョロン地区に住んでいたことになります。そのため、華人にとってチョロン地区とは、長い間の住居地としての役割をはたす歴史深き大切な地であることをお分かりいただけるかと思います。この歴史的背景からか、チョロン地区を歩いていると、華人の方々の歴史的痕跡がいたる場所に残されていることに気づくことができます。
ベトナムと中国がミックスされた独特な雰囲気こそが、ここチョロン地区の最大の魅力とも言われているんですね。
そして今回ご紹介するものが、上記のような歴史的背景によって作られた建造物である「寺院」。この寺院が建てられた目的は、もちろん寺院本来の目的として、礼拝の対象を祀るためです。しかし、それだけではありません。
寺院は華人同士の集会所としての機能もはたされていたのです。華人たちの出身はさまざまで、多様性に満ちています。そのため、この多様性を維持するためにも、寺院という集会場を介することによってコミュニティー関係を保っていたのです。
また、寺院に訪れたのであれば気づくと思いますが、どの寺院にも併設の学校を見かけます。寺院の前面の庭では学生たちが元気よく運動をしていますよ。
華人たちは、コミュニティーの場として様々な華人の集まる寺院そのそばに、あえて学校をつくりました。子供を通わせる際の利便性や安全を確保を考慮してのことかもしれません。また、お賽銭箱のお金は、どうしてもお金がなくて学校に通えない子供や貧困にあえぐ方々のためにつかわれます。僕がこの寺院を作ったすべての目的を知ったとき、その綿密に組まれた計画に驚きました。さすがは「東洋のユダヤ人」と評される華人ですね。
チョロン地区にある寺院は全部で7つですが、華人たちの壮絶な歴史を踏まえた上で見に行くと、その強烈な意思や思いを感じ取ることができるかもしれません。
それでは、今回はそのうちの1つ、「穗城會館(ティエンハウ宮)」をご紹介します。
ホーチミン市・チョロン地区情報サイト「チョロンGO」
http://cholon.vietnhat.tv/
ベトナム最大の中華街「チョロン地区」情報発信サイト。ホーチミン市の5区に点在する中華料理店やベトナム料理店、喫茶店、美容エステ、雑貨店、漢方薬局、カラオケなどチャイナタウンならでは情報を発信!
外装
緑と赤の特徴的な色の組み合わせが目立った寺院です。この寺院は観光客からよく「穗城會館(ティエンハウ宮)」と間違えられることが多いです。
それもそのはずで寺院がとても良く似ているんですよね。
穗城會館(ティエンハウ宮)
この2つの寺院を見分けるには1つ、屋根の形に注目します。會館(ハチュオン会館)は福建系なのですが、福建系の場合には屋根が曲線的になります。一方、穗城會館(ティエンハウ宮)は広東系の建物なのですが、この場合は直線のような屋根になります。観光客の方は気をつけてください。
また、この2つの寺院はとても近い距離にあります。互いにChau Van Liem streetを挟んで1,2分の距離にあります。これも、寺院を間違える原因でしょう。
また、この寺院は狭い路地に面しています。道路に面している箇所には緑色の柵があり、これはそこそこ目立ちます。そのため、近くまでくればすぐに分かるかと思います。
内装
ホーチミン特有の大量のバイクとクラクションの音は人の中に入ると聞こえなくなり、静寂に包まれます。また、チャイナタウンの寺院特有の大量の線香の煙が漂っています。
また、こちらの寺院にはトイレはありません。【無料Wi-Fi】もありません。そして、英語はほとんど通じず、ベトナム語だけですので、お気をつけください。
先程、この寺院と穗城會館(ティエンハウ宮)が似ていると書きましたが、他にも似ている最大の点があります。
それは「祀る対象が同じ」であるということです。「穗城會館(ティエンハウ宮)」では媽祖(まそ)を祀っているのですが、それはこちらの寺院でも同じです。媽祖を祀る寺院自体はたくさんあるんです。また、他にも「溫陵會館(オンラン会館)」なども媽祖を祀っています。これらの記事は以下を参照にしてください。
2017/09/21
2017/09/21
なお、こちらの寺院で祀っている媽祖については「穗城會館(ティエンハウ宮)」にも書きましたが、海を司る神です。
媽祖とは、海をわたる時、また漁業をする時の守護神として、中国の沿海部をベースに広がる道教の女神です。要は人が海に関わる時の守り神ですね。媽祖の尊号として「天后」がつけられており、実はもっとも地位の高い神とされているんです。
こちらの写真には「海」や「安」などと書かれています。日本人でも、なんとなく海の神というニュアンスを感じ取ることができるかと思います。
また、この海の守り神であるもっとも位の高い媽祖(まそ)は、中国の宋の時代に実在した官吏の娘とされています。宋は西暦で960年 -~1127年ですので1000年前に生まれたということになります。
この娘の名は黙娘といい、福建省興化府の官吏である林愿の7人目の娘として誕生しました。幼い頃から才覚に優れており、また信仰心もかなり高かったといいます。そして黙娘が16歳の頃に、村人の病気を不思議な力によって治療したことにより村人から崇められはじめました。
しかしながら黙娘が28歳になると父が難破にあったとの報告を受け、深い悲しみに陥ることとなりました。それ以来、黙娘はたびに出ます。そしてついには峨嵋山の山奥で仙人のはからいによって神になったとの伝承が残っています。
ここまでのことは他の記事にも書きました。そのため別の補足を加えます。黙娘なのですが、少し変わった名前ですよね。黙娘の本来の名前は林黙娘なのですが、なぜこのような名前になったかというと、黙娘自身が黙ってばかりの人だったからと言われています。幼少期から大きな声をだしたり、泣いたりすることがなく静かに育ったとのことです。
また、媽祖には尊号として「天后」がつけられているのは先述のことですが、天后自体は、中国の宋の時代に福建省に実際に存在した巫女だと言い伝えられています。
なお、華僑の方は媽祖をとても深く信仰しています。そして、周知の通り華僑は現在世界中で活動をしているわけですので、そのためか、世界中に4000~5000ほどの媽祖を祀る寺院があると言われています。また、現在ではアメリカのカリフォルニア州でも媽祖の寺院が観測されているほどです。
上の写真の場所では、なんだか私生活感もただよう箇所でしたので、僕の所感では心なしか懐かしさのようなものを感じました。
壁画もかなり作り込まれています。歩いていて飽きません。
こちらの「霞彰會館(ハチュオン会館)」に来た際には、同時に近くの「穗城會館(ティエンハウ宮)」にも訪れてみることをオススメします。それぞれの寺院は福建系と広東系なので屋根の例のように建物の様式が少々違います。しかしながら祀る対象は全く同じ媽祖です。この時、それぞれの寺院での媽祖に対する祀り方でどのような特徴を見出すことができるのか。そんなことを考えながら2つの寺院を周ると楽しいかもしれません。
店舗名 | 霞彰會館(ハチュオン会館) |
住所 | 714/3 Nguyễn Trãi,phường 11,Quận 5,Hồ Chí Minh![]() |
営業時間 | 7:00 - 16:00 |
定休日 | なし |
使用可能な言語 | ベトナム語 |
支払方法 | 現金 |
トイレ | なし |
※当記事は、2017年12月現在の情報に基づいており、現在では異なる場合がございます。
この記事を書いた人

田中さん(20歳)伊豆半島出身
ベトナムにてインターン中の大学生
旅が好き!
ブログ:http://tantan1048.hamazo.tv/
※スパムメッセージ対策の為、コメントは管理者の承認後、公開致します。ご理解とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。